【バーセルインデックスとは】
ADL(日常生活動作)を点数化したものです。アメリカの理学療法士バーセル氏によって1955年に開発されました。医学的な知識がない方でも採点できます。全10項目を自立・部分介助・全介助の分類で100点満点で採点します。 “できるADL” を評価することが出来ます。 類似の検査にFIMがありますが、こちらは “しているADL” を評価することが出来ます。
【準備】
生活動作の評価ですので、それぞれの項目の生活動作をみることができる環境が必要です。
【評価方法】
項目 | 点数 | 判定基準 |
食事 | 10点 | 自立、手の届くところに食べ物を置けば、トレイあるいはテーブルから1人で 摂食可能、必要なら介助器具をつけることができ、適切な時間内食事が終 わる |
5点 | 食べ物を切る等、介助が必要 | |
0点 | 全介助 | |
移乗 | 15点 | 自立、車椅子で安全にベッドに近づき、ブレーキをかけ、フットレストを上げ てベッドに移り、臥位になる。再び起きて車椅子を適切な位置に置いて、腰 掛ける動作がすべて自立 |
10点 | どの段階かで、部分介助あるいは監視が必要 | |
5点 | 座ることはできるが、移動は全介助 | |
0点 | 全介助 | |
整容 | 5点 | 自立(洗面、歯磨き、整髪、ひげそり) |
0点 | 全介助 | |
トイレ動作 | 10点 | 自立、衣服の操作、後始末を含む。ポータブル便器を用いているときは、そ の洗浄までできる |
5点 | 部分介助、体を支えたり、トイレットペーパーを用いることに介助 | |
0点 | 全介助 | |
入浴 | 5点 | 自立(浴槽につかる、シャワーを使う) |
0点 | 全介助 | |
歩行 | 15点 | 自立、45m以上平地歩行可、補装具の使用はかまわないが、車椅子、歩 行器は不可 |
10点 | 介助や監視が必要であれば、45m平地歩行可 | |
5点 | 歩行不能の場合、車椅子をうまく操作し、少なくとも45mは移動できる | |
0点 | 全介助 | |
階段昇降 | 10点 | 自立、手すり、杖などの使用はかまわない |
5点 | 介助または監視を要する | |
0点 | 全介助 | |
着替え | 10点 | 自立、靴、ファスナー、装具の着脱を含む |
5点 | 部分介助を要するが、少なくとも半分以上の部分は自分でできる。 適切な時間内にできる | |
0点 | 全介助 | |
排便 コントロール | 10点 | 失禁なし、浣腸、座薬の取り扱いも可能 |
5点 | 時に失禁あり、浣腸、座薬の取り扱いに介助を要する | |
0点 | 全介助 | |
排尿 コントロール | 10点 | 失禁なし |
5点 | 時に失禁あり、収尿器の取り扱いに介助を要する場合も含む | |
0点 | 全介助 |
【判定】
判定基準:
- 100点: 全自立
- 60点: 部分自立
- 40点: 大部分介助
- 0点: 全介助
一般的に、60点以上が部分自立、40点以下が大部分介助とされています。
【項目の解説】
食事
- 自立(10点): 適切な時間内に自分で食事を完了できる。自助具の使用や装着も自分で行える。
- 部分介助(5点): 食べ物を細かく切るなどの一部介助が必要。
- 全介助(0点): 全ての食事動作において介助が必要。
移乗(車いすからベッドへの移動)
- 自立(15点): 車いすとベッド間の移乗を全て自分で安全に行える。
- 軽度の部分介助または監視(10点): 一部の動作で軽度の介助や見守りが必要。
- 座ることは可能であるがほぼ全介助(5点): ベッドから起き上がり座ることはできるが、移乗にはほぼ全介助が必要。
- 全介助または不可能(0点): 全ての移乗動作において介助が必要、または不可能。
整容
- 自立(5点): 洗面、整髪、歯磨き、髭剃りなどの整容動作を全て自分で行える。
- 部分介助または不可能(0点): 一部または全ての整容動作において介助が必要。
トイレ動作
- 自立(10点): トイレの出入り、衣服の操作、後始末を含む一連の動作を自分で行える。
- 部分介助(5点): 一部の動作で介助が必要。
- 全介助または不可能(0点): 全てのトイレ動作において介助が必要、または不可能。
入浴
- 自立(5点): 体や髪を洗う、シャワーを使う、浴槽に入るなどの入浴動作を自分で行える。
- 部分介助または不可能(0点): 一部または全ての入浴動作において介助が必要。
歩行
- 自立(15点): 補助具の使用の有無に関わらず、45メートル以上を自分で歩行できる。
- 軽度の部分介助または監視(10点): 一部の介助や見守りがあれば45メートル以上歩行できる。
- 歩行不能で車いす操作可能(5点): 歩行はできないが、車いすを自分で操作して45メートル以上移動できる。
- 上記以外(0点): 歩行も車いす操作もできない、または全介助が必要。
階段昇降
- 自立(10点): 手すりなどの使用の有無に関わらず、階段の昇降を自分で行える。
- 介助または監視(5点): 階段昇降において一部の介助や見守りが必要。
- 不能(0点): 階段昇降が全くできない、または全介助が必要。
着替え
- 自立(10点): 靴や装具の着脱を含め、全ての更衣動作を自分で行える。
- 部分介助(5点): 一部の更衣動作に介助が必要だが、全体の半分以上は自分で行える。
- 上記以外(0点): 更衣動作の大部分に介助が必要。
排便コントロール
- 失禁なし(10点): 昼夜ともに排便のコントロールができ、失禁がない。
- ときに失禁あり(5点): 時折失禁がある。
- 上記以外(0点): 頻繁に失禁があり、コントロールが難しい。
排尿コントロール
- 失禁なし(10点): 昼夜ともに排尿のコントロールができ、失禁がない。
- ときに失禁あり(5点): 時折失禁がある。
- 上記以外(0点): 頻繁に失禁があり、コントロールが難しい。
各項目の得点を合計し、最大100点となります。 点数が高いほどADLの自立度が高いことを示します。
【ふかぼりコラム】
バーセルインデックス(Barthel Index)は、日常生活動作(ADL)の自立度を評価するための指標として、医療や介護の現場で広く使用されています。その評価項目は、私たちの日常生活に密接に関連しており、一般の方々にも興味深い側面があります。今回は、バーセルインデックスの各項目にまつわる面白い事実やエピソードを紹介します。
食事
食事は単なる栄養摂取だけでなく、社会的な交流の場でもあります。例えば、日本の伝統的な食事作法「一汁三菜」は、栄養バランスだけでなく、美的感覚や礼儀作法を育む役割も果たしています。また、フランスでは食事が文化遺産としてユネスコに登録されており、食事を通じたコミュニケーションが重視されています。
移乗(車いすからベッドへの移動)
移乗動作は、リハビリテーションにおいて重要な訓練項目の一つです。興味深いことに、近年の研究では、ロボット技術を活用した移乗支援デバイスが開発されており、高齢者や障害者の自立支援に役立っています。これにより、介護者の負担軽減と利用者の自尊心向上が期待されています。
整容
整容は、自己表現の一環として重要視されています。例えば、髭剃りは古代エジプト時代から行われており、社会的地位や清潔さの象徴とされていました。また、化粧は古代ギリシャやローマでも行われており、美しさや健康の象徴とされていました。
トイレ動作
トイレの使用は、文化や地域によって大きく異なります。例えば、日本の高機能トイレは世界的に有名で、温水洗浄便座や自動開閉機能などが搭載されています。一方、インドなどの一部地域では、伝統的にしゃがみ式のトイレが一般的であり、これが健康に良いとする研究もあります。
入浴
入浴文化は国によって様々です。日本では温泉文化が根付いており、リラクゼーションや社交の場として利用されています。一方、欧米ではシャワーが主流であり、入浴は特別なリラクゼーションの時間とされています。また、フィンランドのサウナ文化は、健康増進やコミュニケーションの場として知られています。
歩行
歩行は最も基本的な移動手段ですが、都市設計や文化によって歩行環境は大きく異なります。例えば、オランダのアムステルダムでは、自転車と歩行者が優先される街づくりが進められており、健康的な生活習慣の促進に寄与しています。一方、アメリカの一部都市では、車社会の影響で歩行者環境が整備されていない地域もあります。
階段昇降
階段のデザインは、建築文化や歴史を反映しています。例えば、イタリアのローマにあるスペイン階段は、観光名所として知られ、美しいデザインが人々を魅了しています。また、古代マヤ文明のピラミッドには急勾配の階段があり、宗教的儀式に使用されていました。
着替え
衣服の着脱は、季節や文化によって異なります。例えば、スコットランドの伝統衣装であるキルトは、特定の方法で巻き付ける必要があり、着用には習熟が必要です。また、日本の着物は複数の層から成り、正しい着付けには技術と経験が求められます。
排便コントロール
食生活や生活習慣は、排便習慣に大きな影響を与えます。例えば、食物繊維の豊富な食事は腸の健康を促進し、規則的な排便を助けます。また、ヨガや瞑想などのリラクゼーション技術は、ストレスを軽減し、消化機能の改善に寄与することが知られています。
排尿コントロール
水分摂取量やカフェインの摂取は、排尿パターンに影響を与えます。例えば、カフェインは利尿作用があり、頻繁な排尿を促すことがあります。また、高齢者では夜間頻尿が一般的であり、睡眠の質に影響を及ぼすことがあります。
バーセルインデックスの各項目は、私たちの日常生活に深く関わっており、それぞれが文化や歴史、生活習慣と密接に結びついています。これらの視点からADLを見直すことで、日常生活の中に潜む興味深い事実やエピソードを発見できるかもしれません。