PHQ-9とHAM-Dの違い|どちらを使う?評価方法・対象・使い分けを徹底比較【医療職向け】

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PHQ-9とHAM-Dは、どちらも抑うつ症状の評価に使われる評価尺度です。

ただし、PHQ-9は本人が回答する簡便なスクリーニング評価HAM-Dは医療者が面接を通して評価する重症度評価という違いがあります。

この記事でわかること

  • PHQ-9とHAM-Dの違い
  • それぞれの特徴と使い分け
  • 臨床で使うときの注意点
  • 参考文献・学習に役立つ書籍

PHQ-9とHAM-Dの違い【結論】

結論からいうと、短時間で抑うつ症状を確認したい場合はPHQ-9医療者が詳しく重症度を評価したい場合はHAM-Dが使いやすいです。

PHQ-9は、外来・病棟・在宅などで比較的導入しやすく、経時的な変化も追いやすい評価です。一方、HAM-Dは評価者の面接技術や評価の統一が重要になりますが、抑うつ症状をより詳しく把握しやすい評価です。

PHQ-9とHAM-Dの比較表

項目PHQ-9HAM-D
評価方法本人記入式医療者による面接評価
主な目的抑うつ症状のスクリーニング・重症度把握抑うつ症状の重症度評価
項目数9項目17項目版が代表的
所要時間数分程度15〜30分程度
評価者本人医師・心理職・医療者など
使いやすい場面外来、一般病棟、在宅、リハビリ場面精神科、研究、詳細な重症度評価
メリット短時間で実施しやすい症状を詳しく把握しやすい
注意点身体症状の影響を受けることがある評価者によるばらつきに注意が必要

PHQ-9とは?

PHQ-9は、Patient Health Questionnaire-9の略で、抑うつ症状を9項目で確認する評価尺度です。

本人が質問に回答する形式で、短時間で実施しやすいことが特徴です。外来、病棟、在宅、リハビリ場面などでも使いやすく、経時的な変化を追う目的でも活用しやすい評価です。

ただし、睡眠、食欲、疲労感などの項目は、身体疾患や入院生活の影響を受けることがあります。そのため、点数だけで判断せず、生活背景や身体状態も合わせて確認することが大切です。

PHQ-9の評価方法・点数の見方はこちら

HAM-Dとは?

HAM-Dは、Hamilton Depression Rating Scaleの略で、ハミルトンうつ病評価尺度とも呼ばれます。

医療者が面接を通して、抑うつ気分、不眠、不安、身体症状などを評価します。17項目版がよく知られており、うつ病の重症度評価や治療経過の確認に使われます。

PHQ-9よりも詳しく評価できる一方で、評価者の知識や面接技術が必要になります。そのため、誰が評価しても同じような結果になるよう、評価基準を確認しておくことが重要です。

HAM-Dの評価方法・採点基準はこちら

臨床ではどう使い分ける?

外来・一般病棟ではPHQ-9が使いやすい

外来や一般病棟では、短時間で実施できるPHQ-9が使いやすいです。

特に、うつ症状の有無を大まかに確認したい場合や、介入前後の変化を追いたい場合に向いています。

精神科・詳細評価ではHAM-Dが向いている

精神科領域や、抑うつ症状の重症度を詳しく確認したい場合はHAM-Dが向いています。

ただし、評価者によるばらつきを減らすため、評価基準の確認やトレーニングが必要です。

リハビリ場面ではPHQ-9を入口にするのもよい

リハビリ場面では、身体機能やADLだけでなく、意欲、睡眠、疲労感、活動性の低下なども重要です。

PHQ-9を入口として使い、必要に応じて医師や心理職へ相談する流れを作ると、チーム内で情報共有しやすくなります。

短いコラム:点数だけで判断しない

臨床では、PHQ-9の点数が高くても、身体疾患による疲労感や睡眠障害が影響していることがあります。逆に、点数が低くても、会話の中で強い不安や意欲低下が見えてくることもあります。評価尺度はとても便利ですが、患者さんの生活背景、病状、表情、会話の内容と合わせて考えることが大切です。

PHQ-9のメリット・デメリット

メリット

  • 短時間で実施しやすい
  • 本人記入式で導入しやすい
  • 経時的な変化を追いやすい
  • 外来、病棟、在宅など幅広く使いやすい

デメリット・注意点

  • 身体疾患の影響を受けることがある
  • 本人の理解力や回答傾向に影響される
  • 診断は医師の総合判断が必要

HAM-Dのメリット・デメリット

メリット

  • 抑うつ症状を詳しく評価しやすい
  • 医療者が面接を通して評価できる
  • 治療経過や重症度の確認に使いやすい

デメリット・注意点

  • 実施に時間がかかる
  • 評価者の知識や面接技術が必要
  • 評価者間のばらつきに注意が必要

PHQ-9とHAM-Dはどちらが優れている?

PHQ-9とHAM-Dは、どちらか一方が優れているというより、目的に応じて使い分ける評価です。

短時間で抑うつ症状を確認したい場合はPHQ-9、医療者が詳しく重症度を評価したい場合はHAM-Dが向いています。

リハビリや一般病棟では、まずPHQ-9で確認し、必要に応じて専門職へ相談する流れが現実的だと思います。

おすすめ書籍・参考資料

PHQ-9やHAM-Dをより深く理解したい場合は、評価尺度だけでなく、うつ病の診断、症状、治療、面接の考え方も合わせて学ぶと理解しやすくなります。

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よくある質問

Q. PHQ-9だけでうつ病と診断できますか?

PHQ-9は抑うつ症状の把握に役立つ評価ですが、診断は医師が症状、経過、身体疾患、薬剤、生活背景などを含めて総合的に判断します。

Q. リハビリ職がPHQ-9を使ってもよいですか?

施設の運用や職種の役割に沿って使用する必要があります。リハビリ場面では、意欲低下や活動性低下の背景を把握する補助として活用し、必要に応じて医師や心理職へ相談することが大切です。

Q. HAM-Dは誰でも評価できますか?

HAM-Dは医療者による面接評価であり、評価基準の理解や面接技術が必要です。評価者によるばらつきを減らすため、事前に評価方法を確認しておくことが重要です。

Q. PHQ-9とHAM-Dを両方使う必要がありますか?

必ず両方使う必要はありません。目的に応じて選択します。スクリーニングや経過確認ではPHQ-9、より詳しい重症度評価ではHAM-Dが候補になります。

まとめ

PHQ-9とHAM-Dは、どちらも抑うつ症状を評価するために役立つ評価尺度です。

  • PHQ-9は、本人記入式で短時間に実施しやすい
  • HAM-Dは、医療者が面接を通して詳しく評価できる
  • リハビリや一般病棟では、PHQ-9を入口にすると使いやすい
  • 精神科や詳細な重症度評価では、HAM-Dが向いている
  • どちらも点数だけでなく、生活背景や身体状態と合わせて判断する

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参考文献

  • Kroenke K, Spitzer RL, Williams JBW. The PHQ-9: Validity of a Brief Depression Severity Measure. Journal of General Internal Medicine. 2001;16(9):606-613.
  • Hamilton M. A rating scale for depression. Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry. 1960;23:56-62.
  • Muramatsu K, Miyaoka H, Kamijima K, et al. Performance of the Japanese version of the Patient Health Questionnaire-9. General Hospital Psychiatry. 2018;52:64-69.
  • NICE. Depression in adults: treatment and management. NICE guideline NG222.
  • American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition, Text Revision(DSM-5-TR).

※本記事は医療・介護従事者向けの情報提供を目的としています。評価尺度の結果のみで診断を行うものではありません。診断や治療方針は、医師の判断に基づいて行ってください。

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